cachette selection

cachette selection2020年10月15日

cachetteのインスタライブにも登場いただいた、犬のファッションブランドZoe life with petsは、シンプルで上質な服づくりが多くの愛犬家から支持されています。デザイナーのNoriさんと、パートナーのSatomiさんの世界に深く共感する私が考えたこととは。

私の家にはまもなく15歳になる愛犬、ジュディ(ミニチュア・ピンシャー)がいますが、彼女に着せる服は長年私の悩みの種でした。というのは、短毛種であるミニチュア・ピンシャーは冬の寒さに弱く、なんらか服を着せなければと思うものの、着せたい服がない……。まだ仔犬のころには「女の子だからかわいい服を着せたほうがよいのかな」と考え、無理やりフリフリヒラヒラしたドレスを着せたり、スパンコール付きのカットソーを着せていたこともあります。

クリスマスになればサンタクロース風の服を着せ、ねずみ年のお正月にはミッキーマウスのコスプレをさせたこともあります。散歩中に「あらかわいいわね」と声をかけてもらえれば、自分が褒められたように悦に入っていたものですが、いま考えてみればいずれもジュディにはあまり似合っておらず、なによりジュディ自身の着心地についてはほとんど考えたことがありませんでした。

定番のシルク×コットン素材のVネックTシャツ/Zoe life with pets
美しいファンシーツイードを使ったポンチョ/Zoe life with pets

Zoe life with petsのコレクションはそれら、コスプレ感覚の洋服とは対極にあるように見えます。たとえば、ずっと触れたくなるようなやさしい手触りのオーガニックコットン。生成り色の無地に、胸にZのワンポイントでシンプルの極みといえるTシャツや、シルクのなめらかな光沢が美しい寝具、シックで上品なポンチョ……どれも機能的な美しさを持ち、人間の私も着たい、欲しいと思うものばかりです。

Zoe life with petsのおふたりと、愛犬のゾーイ(トイ・プードル)。

「うちの愛犬(ゾーイ)に着せたいと思う服がなかったので、自分で作ってしまおうと考えました」と語るのはZoe life with petsデザイナーのNoriさん。パートナーのSatomiさんとともに、テキスタイル選びから、パターン制作、縫製に至るまで、すべて手作業で丁寧に行っています。

木曽川の豊かな水と肥沃な土壌に恵まれた愛知県尾州は昔から織物産業が盛んだった。

おふたりのクリエイションにおいて、もっとも大切なファクターは素材選び。Zoe life with petsが拠点としている愛知県一宮市はもともと尾州(びしゅう)と呼ばれ、繊維産業が盛んなエリアでした。Noriさんはこの地で生産される数々の上質なテキスタイルに注目し、ときにはオリジナルで生地をプロデュース。

オーガニックヘンプ(麻)のポンチョはUV効果も高い。

なかでも和紙とポリエステルを混紡した素材は、抗菌・消臭性に優れ、通気性も高いのでムレず、身体にやわらかく沿うため、着心地も抜群。いま、季節を問わずにエアコンのきいた室内で暮らす犬たちの心強い味方となっています。

Zoe life with petsの服は原則的にメイド・トゥ・メジャー。

そして、もうひとつ特筆すべきことはZoe life with petsの服は原則的にすべてメイド・トゥ・メジャー(セミオーダー)であるということ。つまり1頭、1匹ごとにサイズを計測し、そのサイズで世界に1着しかない服を作ってくれるというわけです。これは、犬種によって体形が変わり、また個体によってもサイズ差が大きい犬ならではの重要なポイント。この丁寧なプロセスにもおふたりのモノづくりへの真摯な姿勢が表れています。

このゾーイくんのアンニュイな表情、たまらなくかわいい!

上質な素材と丁寧な工程、となれば気になるのは価格です。Zoe life with petsのコレクションはもっともシンプルなタンクトップで5,000円ほどと、決して安価なものではありません。でもそれは、国産の上質な素材と、熟練した職人の手仕事から発生する適正な価格とも言えるでしょう。いま、ファストファッションを探せば安価な服はたくさん見つかりますが、それらの多くは海外で、非常に安い賃金、かつ過酷な環境下で製造されていると言われます。

以前、コムデギャルソンのデザイナーである川久保玲氏がインタビューに応えるかたちで「ジーンズ1本が何百円なんてありえない。どこかの工程で誰かが泣いているかもしれないのに、安い服を着ていていいのか」、「いいものは人の手や時間、努力が必要なので、どうしても高くなってしまいます」と、ファッションにおける適正価格について疑義を投げかけていました。私自身、ファストファッションブランドの服も愛用しているので、ファストを安易に否定する気持ちはありません。ただ、犬の服を購入する私、その服を着る愛犬だけではなくて、その服を作る人たち、さらには生地や原材料を作る人たちまで遡り、みんながそれぞれの仕事に誇りを持てる環境づくりは今後、もっともっと大切にされていくべきだと考えます。

そして犬になぜ服を着せるのか——も、今後考えていきたいテーマのひとつです。生来、ファー(被毛)をまとっている犬たちは、エアコンのきいた室内で暮らす限り、機能面においては必ずしも服を着る必要はありません。でも、犬という存在はすでに社会性をもった言わば「特権階級の動物」であり、我々の大切な相棒となりました。

私は初めてジュディに服を着せたときをよく覚えていますが、スパンコールをつけたピンクのTシャツを着た彼女は、「かわいいね!」という私の誉め言葉を聴き、本当にうれしそうにしました。またその後も、洋服を着るたびにどこかへお出かけできることを知り、クローゼットから洋服を出すだけで、自分から尻尾をふりふり「早くお洋服着せて!」とやってくるし、冬はダウンジャケットを着せれば、冷たいアスファルトの道も頑張って歩きます。これは犬たち自身も服を着るという行為をよろこんで受け容れているという証だと思います。

そこで問われるのが、「ではどんな服を着せる?」ということ。私は冒頭に述べたように、ジュディの着心地や機能性をあまり考えることなく、自分のエゴで服を着せてきた経験を持っていますが、今後、そのスタンスは卒業したいと考えています。尊重すべきは、まず愛犬の心地よさや機能性。そして作り手や買い手がともにハッピーであること。SDGsが社会的な課題となっている今、サステナブルであることも求めていきたいことのひとつでしょう。犬とファッションについては今後も引き続き考えていきたいと思います。

Zoe life with pets
https://www.zoelifewithpets.com/


Text by Miyako Akiyama

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